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宰相の条件―今、日本に必要な品格と見識 (祥伝社黄金文庫)

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2007.10.23 Tue
福田首相の曖昧戦略に騙されるな
 考えを見せない。
 流れに任せる。
 第三者的なポジションをとる。
 勝てるときまでは戦わない。
 まさに、それが福田首相の政治スタンスだ。
 カエルのつかる水が徐々に暖めれれたとしても、カエルはそれに気がつかずについに死んでしまう。国民はカエル状態にされている。福田首相は、慎重に言葉を選びながら、追及をかわし、徐々に安倍路線の修正を図っている。
 テロ対策関連法案もそうだ。首相自身は、安倍首相が首相の職を賭して取り組むと言った路線を継承しながらも、徐々に強行突破の意志を弱めているように思える。世論の動きを見ながら、世論が反対ならば、衆議院で再可決までして法案を通過させる必要はないというスタンスだ。
 福田首相は、現時点でガチンコ勝負をやると、参議院で過半数を持っている野党に有利だと見ているのだろう。国政調査権や証人喚問などの手を使って法案を潰し、解散に持って行こうとうする手に乗ってしまうことになりかねない。要するに世論の身方があるならば、法案を強行し、なければ廃案にしてもいいと考えているのではないか。
 当然、福田首相の最大の関心事は、解散総選挙だ。解散権を持つ首相としては、一番有利なときにやりたい。郵政選挙で勝ちすぎたのだから、どうやっても議席を減らすのは目に見えている。目標は自民党で過半数を握ることだ。そのためには、民主党の政権担当能力のなさを強調するのが一番手っ取り早い。民主党もそれを一番警戒している。
 早く民主党にテロ対策の対案を提出して欲しいと思っているが。民主党は党内でまとまらず、出せそうにない気配だ。もしもISAF派遣の法案が出すようならば、自民党は徹底的に民主党を攻撃する材料を得ることになる。
 ISAF派遣は憲法違反であり、自衛隊員に犠牲者が出るかもしれず、比較的良かった中東の対日感情が悪化する等の主張を展開し、民主党の法案を非現実的→政権担当能力なしとの烙印を押す。攻めは最大の防御なりで、民主党が防戦に回れば、攻撃を封じ込める結果になる。
 もちろん、民主党は対案を出しても、出さなくても、政権担当能力がないと攻撃されるだろう。冷静に考えるならば、今のところは対案を出さず、自民党を攻撃し、世論の批判によって出さざるを得なくなれば、出そうという姿勢をとるだろう。しかし、憲法9条の制約がある限り、民主党の国連中心の対案も自民党と同様に苦し紛れの拡大解釈の域を出ないため、苦しい答弁を迫られるだろう。
 要するに海外派兵で建設的な議論をしようと思えば、根幹の憲法を改正するしかないのは分かり切っている。
 今のところ、福田首相は「時間の経過」が自分に利益をもたらすと思っているようだ。テロ対策をはじめ、年金、医療、消費税、拉致など難問だらけで、なかなか結論が出ない問題ばかりだ。特に選挙の洗礼を受けていない福田内閣の求心力は、一つのミスによって瓦解する恐れさえある。
 当面は曖昧戦略をとって、野党との対話を重視する姿勢をとり、野党の攻撃をかわしながら、失点を防ぐ。その間に参議院選挙の余韻がさめる。
 しつこく民主党にテロ対策の対案を出すように迫りながら、民主党の政権担当能力のなさを浮き上がらせる。国民の損得に関わる年金問題だけは、一生懸命やる姿勢を見せながら、それ以外は、担当大臣を全面に立たせ、巧妙に自分を第三者的な立場におきながら、責任を回避する。じっと亀のように首をすぼめて勝てる時を待つのだ。
 勝てるときまで、絶対に戦わないのが福田首相の政治スタンスであることを忘れてはならない。

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テーマ:これでいいのか日本 - ジャンル:政治・経済
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