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| HOME | 2007.10.13 Sat没個性が個性の福田首相
国会論戦が盛り上がらない。
その原因の多くは福田首相の言葉が物足りないことだ。国会で多少感情を出す場面もあるが、大抵がはぐらかしか、抽象的な発言に終始する受け答えだ。 同時にあいまいな政治姿勢も問われている。先日のミャンマーでのジャーナリスト殺害においては日本のスタンスを明確にせず、他国の対応を見て判断するというような、戦後、55年体制下での外交姿勢と同様の姿勢で対応しているのは残念だ。 要するに言葉と政治姿勢が物足りないのだ。
福田氏は、小泉、安倍の改革路線、自己主張路線に疲れた自民党議員、それに麻生という対抗馬の弱さを見て好機到来と判断する。総裁選出馬表明後は、こぞって派閥が支持するという棚からぼた餅的な勝利だった。
リスクをとらない出馬の仕方に福田氏の個性が表れている。総裁選出馬表明後は、支持を明確にした派閥の長を周り、票固めを行った。リスクをとるよりも安定感を大切にする福田氏らしい光景だった。 実は福田氏が首相に選ばれてから、このブログではあまり福田氏のことを取り上げていない。野党にしっぽを捕まれないように慎重に発言する福田首相は発言だけでなく、体から発するオーラが欠けている。パフォーマンスをやらないということは評価できるのだが、国民に届くような声を出さなければ、国民に政策が理解されず、実際の仕事をやる前に倒れてしまう可能性さえある。 田中真紀子氏との対決は国民から注目されたが、あくまでもことを荒立てず、静かに対応するという姿勢に終始していた。相手をやり込めようとして墓穴を掘ってしまうという危険性を避けている。他の閣僚にも、野党の質問には冷静に丁寧に対応するように注意しているという。 そのため国会論戦が盛り上がらない。時に明確で、挑発的な発言がなければ、議論が盛り上がるはずがない。しかし、今回の首相は、激しい論戦になると野党に利があると見て、静かに首を引っ込めて我慢する「亀路線」をとっている。 福田氏が政治家を志していなかったのは周知の事実だ。政治家になったも53歳とそんなに早くないが、世襲政治家の典型のように父福田赳夫の地盤と看板を受け継いだ。当選後は官房長官以外の主要閣僚は経験していない。 森政権、小泉政権で官房長官を勤め、役人を上手く使う手腕を評価されたが、番頭に向いていてもトップの器ではないとの印象が強かった。しかし、小泉改革路線に反対する議員からは、最後の切り札として、総裁選への登板を期待されていた。 あくまでも政治路線は穏健であり、急激な変化を望まない戦後の自民党体質を引きずっている人物である。従って、安倍首相よりは、民主党政策との親和性は高く、民主党案を丸呑みし、民主党の独自性をなくするという究極の作戦もとりやすくなった。 父の福田赳夫氏は、ダッカハイジャック事件で、人命は地球より思いとして、信じられない超法規的措置で日本赤軍のメンバーを釈放した。秘密裏ではなく目に見える形で犯罪者との取引に応じるというという対応は、国際社会から痛烈な非難を浴び、日本の政治・外交に大きな汚点を残した。 その息子の福田康夫もその穏健な政治姿勢と性格から、同じように判断を誤る可能性を秘めている。将来、首相として厳しい判断を迫られたとき、リスクをとれずに結果的に結論を先送りし、問題を深刻化してしまうという日本の政治家の典型的なパターンを抜けきれるかどうか、はなはだ疑問を感じてしまう。 その予兆がミャンマー軍によるAFP通信契約の長井さんの殺害に対する軟弱な態度に表れている。ジャーナリストが、まるで見せしめのように至近距離から射殺されたにもかかわらず、いまだに強い態度をとっていない。もちろん無用な争いをする必要はないが、今後のためにも明確な態度と圧力をかけるべきだ。そうでなければ、日本が舐められ海外にいる日本人の危険が高まる恐れがある。とりあえず、現在の福田政権は事を荒立てず政権への影響を避けたという逃げの姿勢に終始している。 外交面で見ると、福田首相が失点を重ねるのは、案外、親密なはずの中国や田中均がパイプを持つ北朝鮮との外交においてかもしれない。父の時代から続く中国との親密さ、北朝鮮への甘い態度などが、油断を生み、巧妙な外交戦略を持つ二国に得点を重ねられる可能性がある。特に拉致問題では、自らが解決すると言った手前、北朝鮮側は必ず足元を見てくるはずだ。福田首相の訪朝、拉致被害者の解放と引き換えに巨額の援助金をむしりとられる公算が高いのではないか。 福田氏の首相としての真価が問われるのは、ある程度予測がつく年金や政治と金などの問題ではなく、大災害や国際問題など突発的な問題への対応かもしれない。 恐らく危機管理と危機対応が福田首相にとって一番苦手なジャンルに違いない。
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